さて、ここでおかしくなってくるのが、詩音と魅音が反対だってこと
です。牢屋の中にいる魅音は自分のことを詩音と名乗り、外にいる詩音
のことを「お姉」と呼びます。
いや、実際ここがずっと分からなかったんですよ。以下は悩みぬいて
思いついた憶測。ここが外れていたら、ここまでも全部間違いだって可
能性も高くなるんですが……。
『園崎魅音は園崎詩音と入れ替わっていた』のです。圭一が魅音とし
て知っている魅音は、元々は興宮の園崎家で暮らしていた「園崎詩音」
で、反対に興宮で暮らしているのは、元々園崎本家に暮らしていた「園
崎魅音」。
こうなるともうややこしくて仕方がないので、この後も圭一が知って
いる方の呼称で統一しますよ。
そしてその理由は「悟史を殺すのを嫌がったため」です。北条悟史が
どういう理由で鬼隠しの対象とされたかは分かりませんが、詩音は悟史
のことが好きだったのでしょう。園崎家頭首候補としての覚悟以上に、
その感情が強かった。
詩音が悟史を殺すことを拒否したため、お魎は興宮に暮らしていた魅
音を呼び、代わりに手を下させます。鬼隠しが実行できない者に園崎家
頭首の資格無し、と判断し、鬼隠しを成し遂げた魅音を「次期頭首の園
崎魅音」としたのです。代わりに詩音は興宮の家に追いやられます。
当然お互いの呼び名も変わってしまいますが、2人きりの時だけは元
の名前で呼び合うようにしていたのでしょう。ですから詩音は魅音のこ
とを「詩音」と呼び、魅音は「お姉」と呼ぶわけです。
このことを裏付ける文面を、私は発見できませんでしたし、後の「人
形がもらえなかったせいで鬼になった」って話がおかしくなっちゃいま
すが……。
アレはまあ、詩音なりの魅音への気遣いだったのではないでしょうか
と。魅音の心を傷つけたことだけは報いさせてやろうと思ったのではな
いでしょうか。苦しい? 苦しいよねえ。
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しかしこの後の圭一の言動で、詩音は圭一のことをちょっと見直しま
す。もしかしたら殺さなくてもいいかな、というくらいには思い直します。
それよりも警察の突入が分かった以上、もう詩音には時間がありませ
んでした。圭一を気絶させてから魅音のいる牢屋へ向かい、「圭ちゃん
は後でちゃんと殺してあげるから」とか言ってから魅音を気絶させ、服
を交換してから隠し井戸に放り込みます。後は牢屋に入って警察に保護
されればこれで終了。
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詩音は詩音に戻り、取調べや診察を受けていましたが、殺人を犯して
しまったことが精神的に耐えられなくなってきます。魅音の幻覚に取り
付かれ、次第に精神を病んでいったのです。
しかし自分が死ぬ前に圭一は殺しておかなければならない、と思った
のでしょう。圭一を気絶させた後の魅音とのやり取りで、そうさせる何
かあったのだと思いますが……。
そして「鬼になった魅音」として圭一を刺しに行ったわけです。圭一
は一命を取り留めましたが、詩音としてはもう殺したつもりだったので
しょう。これが最後のスイッチとなり、ビルから飛び降りました。
- 2005/10/12(水) 23:58:00|
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